鼻がつまってしまった経験は、誰しもおものことと思います。風邪や花粉症などでなりやすく、よくある症状の1つなので、特に鼻づまり対策をせず自然に治るのを待つ方もいることでしょう。
鼻がつまって頭が重くなったり、物事に集中できなかったりすることはありますが、鼻づまりが新たな病をまねく可能性があることは、あまりピンとこないのではないでしょうか。鼻づまりというと、内科や耳鼻科に関連するようなイメージがありますが、実は歯科にも関係しているということをお話ししたいと思います。
歯科に関連するといっても、口の中の病により鼻づまりになるのではありません。むしろその逆。鼻づまりが歯科疾患の原因になる可能性があるのです。
ポイントは、鼻づまりがまねく口呼吸です。
私たちは普段、鼻から息を吸って鼻から息を吐く鼻呼吸をしています。しかし、鼻がつまり鼻呼吸できなくなると、口呼吸せざるをえなくなります。
歯科の立場から見た時、大きな問題は口腔内の乾燥をまねくこと。総合的な視点から見ると、実に多くの問題があるのですが、今日は歯科の立場から考えますね。
お口の中の乾燥はだ液の活動の抑制と、だ液の分泌の抑制をまねいてしまいます。
だ液というと汚れたイメージをもっている方もいるかもしれませんが、実は、お口の中にうるおいをもたらし、口腔内を清潔・健康に保つのに欠かせないもの。
だ液は食事の時の消化を助けるだけでなく、食事の後の食べかすを洗い流す作用ももっています。歯垢や着色のもととなるものを流してくれるのですね。また、食事で酸性に傾きむし歯ができやすくなった口腔内を中和する作用もあります。歯の再石灰化を促す作用もあります。
乾燥した歯茎は傷つきやすい状態になっています。歯茎の傷から細菌が入り込むと、歯肉炎や歯周病になることがあります。長期の鼻づまりは口呼吸の常習化や、歯並びの乱れの原因となることもあります。
たかが鼻づまりと軽視していると、お口の中までボロボロになってしまいかねません。毎日のお口のケアも大切ですが、口呼吸をまねく鼻づまりのケアも忘れずにしてください!