患者さまが、「詰め物がとれちゃって」と来院されるのは年中あることですが、年末年始の休みが終わって来院する方がよくおっしゃるのは、お餅を食べていたら詰め物がとれたという話。お正月になるとお餅をのどに詰まらせてしまう高齢者が後を絶たないそうですが、若くても歯にくっついてしまうことがあるのですね。
お正月といえばお雑煮をはじめとするお餅料理の出番ですが、トラブルにつながっては残念です。今回は、詰め物を長持ちさせるために、詰め物はなぜとれてしまうのかについてお話ししたいと思います。
詰め物がとれてしまうのは、詰め物と歯を接着している部分が取れてしまうから。この接着部がとれてしまう原因を考えてみました。
まずは、接着している部分に強い力が加わり、引きはがされてしまうようなケース。詰め物は、通常の使用に耐えるように接着されていますが、想定外の力がかかったり、思わぬ方向から力がかかったり、継続的に力がかかり続けるようなことがあるとはがれてしまうことがあります。
無意識のうちにかなりの力がかかってしまう歯ぎしりや、ストレスやスポーツによる歯のくいしばりは、詰め物の接着部に負担をかけます。冒頭にあげたお餅による詰め物がとれてしまうのも、これにあたります。お持ちのほか、キャラメルや千歳あめ、ガムなども詰め物が取れやすい食べ物です。
かみ合わせの変化も同様に接合部への負担となります。矯正の有無にかかわらず、お口の中の歯はわずかに動いています。したがって、何もしていないのにかみ合わせに変化が起きていることもあるのです。
他に考えられるのは、歯に異常が起きているケース。詰め物がしっかり接着されていても、接合部分の歯自体の形が変わってしまうと、どうしてもすき間が生じ詰め物がとれてしまいます。
歯の形が変わってしまう一番の原因はむし歯。詰め物と触れている部分に虫歯ができ、歯の形が変わってしまうと詰め物がとれてしまいます。また、何らかの原因で、歯自体が割れてしまうことも詰め物がとれる原因になります。
以上より詰め物を長持ちさせるには、歯磨きなどで虫歯の予防に努めること、そして歯に負担となるようなことを避けることがポイントになります。万が一、詰め物がとれてしまった場合は、取れた詰め物を持って、できるだけ早くご来院くださいね。