子どものころ、むし歯で何度も歯医者に通った記憶がある方もいることと思います。子どもがむし歯になりやすいのは、乳歯が弱く、生え途中の永久歯もやはり弱いからです。歯磨きが十分にできないことも要因の一つですね。
乳歯のエナメル質の厚さは永久歯の半分ほど。エナメル質の中にあるやわらかい象牙質も薄くなっています。そのためむし歯になりやすく、できたむし歯は進行しやすくあっという間に神経に達してしまいます。
しかし、丈夫な永久歯が生えそろった大人でもむし歯になってしまうことがあります。大人の歯がむし歯になるメカニズムは子どもの歯と変わりありませんが、大人になってからのむし歯にはそのでき方にいくつか特徴があります。その特徴を知って、むし歯予防に役立てましょう。
●大人のむし歯の特徴 その1
回数には差があっても、多くの大人がむし歯を経験しています。代表的なむし歯の治療では、患部を削り詰め物や被せ物をします。進行している場合は抜歯となることもあります。
大人のむし歯は、このようなむし歯の治療跡、詰め物や被せ物のすき間にできやすい傾向が見られます。特に、抜髄(神経をとること)をした歯は痛みを感じにくく、むし歯が進行しても気づきにくく重症化してしまいます。
●大人のむし歯の特徴 その2
審美治療や矯正、ブリッジや部分入れ歯の装着で、むし歯ではない歯を削ることがあります。薄く日常生活に支障のない程度削るのですが、エナメル質を薄くする行為に変わりなく、少なからず歯を弱くしてしまっています。このように、削った部分もむし歯になりやすいので、心当たりのある方は注意が必要です。
●大人のむし歯の特徴 その3
高齢者の歯は細長く見えます。これは、加齢に伴い歯茎が下がってしまうから。歯周病や向かい合う歯を抜歯したまま放置しても、同様の症状が見られます。
これは、通常歯茎の中にあるべき部分がむき出しになった状態。むき出しになってしまった部分はやわらかくてむし歯になりやすく、むし歯になってしまうと進行も早くなります。
●大人のむし歯の特徴 その4
何かないと歯科医院に行かないことも、大人むし歯のポイントです。子どものころは学校で歯科検診があり、歯科医院に行かなくても定期的にお口の中をチェックすることができました。
しかし、大人になると歯科検診は任意となることが多く、なかなか受ける機会がない人が増えています。歯科医院に行く手間暇がかからず、楽になったと思うかもしれませんが、むし歯が発見されたときは手遅れといった事態を招く可能性があります。
むし歯になりやすい箇所の歯磨きを重点的に行い、定期的健診を受けることが大人のむし歯予防になりますね。